J-ROCK音楽店

ザ・フーのファンならマスト。
1989年、休眠状態だったザ・フーは突如再結成し、北米ツアーを行なった。金儲け主義とか単なるノスタルジアとか色々ネガティブに言われ、その後出たライブ盤「ジョイン・トゥゲザー」も評判は今ひとつだ。でも、その１枚目で完全再現された「トミー」はコーラス、ブラス隊を配した大がかりな演出で素晴らしい仕上がりだった。ピートの楽曲の魅力はドラム、ベース、ギターというロックの楽器編成を超えて広がる可能性があると気づかされた。はっきり言うがこれは「ライブ・アット・リーズ」の時よりイイ。

で、90年代初頭のこのブロードウェイ版である。当然楽曲は大編成で演奏され、これも当然だが役によって異なる俳優が歌う。おまけにこのCD版のプロデュースは"ビートルズ第五のメンバー"ジョージ・マーティン！！　意外なくらい早く届いた現物を聴いてみると、そりゃあもうバッチリ、最高。私はかつてロンドンで「サタデー・ナイト・フィーバー」のミュージカル版を観に行って客席で爆睡した人間だが、これは一気に聴き通せた。ブックレットでピートはマーティンの手腕を褒めちぎっているが、まったく同感だ。いい楽曲を、変に自分の色に染めることなく、まっすぐにこちらにに届けてくれている。アレンジャーがすばらしい仕事をしているということもあるだろう。それにしてもベーシックな録音がたった３日間とは…ロック史上最高の仕事を成し得たプロデューサーはさすがだ。あと全体を通してサウンドのステレオ感が尋常でなく、左右に音が飛びまくり、とにかくナイス。ザフー本人たちの仕事じゃないという点でマイナスして星４つにしようかと思ったが、かまわん。５つだ！　損はしない！！　手に入れるのだ！！！

ブルース・スプリングスティーンと一緒に全世界を肯定！
これは全人類に向けて放たれる賛歌であり、いわばロックンロール虚空会だ！ それにしても、なんて前向きでポジティブな演奏なのだ！言葉の持つ重み、表現者としての責任を背負いながら、なんと力強く歌ってくれることだろう！ この誠実さ、大地や空のような優しさ、そいつに触れてくれたまえ！ むやみやたらな理論、理屈なんてものは、トイレに流してしまえ！ 感じて頂戴！この情熱、この愛を！ ラストの「If should fall l behind」は涙なしには聴けない！「The River」のリリシズム！ 「Atlantic city」のダイナミズム！「Land Of Hope And dreams」はトリハダもの！感傷、皮肉や虚無を真っ向からぶっとばす、まさにクールなロッキン・ダディである。みんなにも、この尋常でない優しさに包まれて欲しい。そして、全世界を肯定するのだ！ 「老い」に膝を屈することなく、一層倍に力強く細やかな演奏をしてのけたブルース・スプリングスティーン＆E.Street.Bandに拍手！！！彼らの生き様自体がひとつの物語だ。 そこらにいる目の澱んだ若いインテリ野郎の何億倍も、若い！！ 泣くよりSwing,恨むよりRoll!　永遠、極楽、天国を見たいやつはこれを聞け！ Bloodbrothers,Forever!!!みんなも友達を大事にね！
ボスも衰えました。
他の方と対極のような意見ですが、久々のEストリートバンドとのライブということで期待感はあったんですが、声が全然出てません。少なくとも私が昔見た「ボーン・イン・ザ・USA」ツアーの代々木体育館でのライブとは大違いです。まああれから20年ぐらいになるので仕方はないんですが、それにしても以前出した3枚組のライブの緊張感は望むべくもない出来です。「Born in the U.S.A.」のアレンジは、ネブラスカ録音時のバージョンと同じアレンジで、この曲の正統なバージョンだと思います。この曲はベトナムでの敗戦国である当時のアメリカの沈んだ雰囲気を歌った曲であって、本来はあの同名タイトルのアルバムのように高らかに歌い上げられる性質のものではなかったはずです。レーガン元大統領が自身の宣伝にこの歌を取り上げたことは有名な話ですが、一人歩きしはじめた自分の作品の評価を正しいものにしたいという一念でしょうか、最近はこのバージョンをかなり露出しています。
ボスの熱いハ−ト
ボスとＥストリ−トバンドが久々に再結成して行われた、2000年ＭＳＧで収録されたライブ盤。ボスのハスキ−で熱いヴォ−カル、それに負けないＥストリ−トバンドの熱く激しくも美しい旋律を奏でる演奏は、長年のファンにとっても今だに期待を裏切らず最高にしびれますね。激しくも哀愁ただよう曲の数々は、ライブでも全く変わりません。

ライブだとあって、オリジナルとは大幅にアレンジされた曲が多いのも印象ですね。全く別の曲に生まれ変わった(？）「ボ−インザＵＳＡ」は圧巻！！

社会派ロックンロ−ラ−としてのボスのメッセ−ジも印象深い。特に、日本のニュ−スでも取り上げられた「アメリカンスキン〜41ショット〜」は、ファンとしても、一人の人間としても忘れてはいけない名曲のひとつではないでしょうか。
ボス復活！衰えを知らぬハードヴォイスは圧巻
Ｅストリートバンドの全盛期から数えると何年の月日が流れたのであろうか？前回のベストアルバムレコーディングの際、一時的に再結成をして話題を呼んでいたが、今回のアルバムは「完全復活」を遂げた2000年のＭＳＧライブを忠実に再現した物で、全盛期を知る人には涙を誘うほど貴重なアルバムといえます。何よりも驚かされるのが、全く衰えを知らないハードヴォイスと、聞く人を惹き付けて止まない圧倒的なパフォーマンスぶり。正直いうと、衰えを覚悟しつつ、ファンとしてのコレクション気分で購入した作品でしたが、「アトランティックシティ」「マンションオンザヒル」「Ｔｈｅ　River」と、あたかも別の作品かと思うほど完璧にアレンジをされた名曲の数々を聴き進むにつれ、おそらくファンなら誰もが、驚!き、そして感動する作品だと実感させられました。社会問題にまで発展した「アメリカン　スキン」という新曲は、常に社会との接点を持ち続け、目を背けがちな現実の問題を、一貫して変わらぬ厳しい姿勢でうたいあげており、またまた歴史に名を刻む名曲の誕生だと感じる。とにかくファンなら持つべき一枚。