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[ 文庫 ]
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三国志〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)
・吉川 英治
【講談社】
発売日: 1989-04
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・吉川 英治
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カスタマー平均評価: 4.5
全8巻の読破もあっという間 わかりやすい文章表現と人物描写の巧みさ、中だるみのないストーリー展開により、とにかく楽しめる作品に仕上がっている。全8巻の読破もあっという間だろう。そして、人間の生き方や歴史の変転に思いを至らすだけでなく、「泣いて馬謖を斬る」の由来を知ったりして、教養も深まると思う。
「劉備=善、曹操=悪」と言う観点が強すぎ、勧善懲悪ものに単純化したかのような傾向が無いわけではない。そこが難点と言えば難点か。
(これは1?8巻を通してのレビューです。) 入門者には不向き 日本人にとって三国志の原点とされている吉川三国志。
しかしながらこれから三国志を知ろうという方にとっては敷居が高くお勧めできません。
昭和10年代に書かれたものなので文体も古めかしく、挫折率が相当高いです。
「読破すること」自体が目的にならないように・・・
入門者にはこちらがおすすめです
★横山光輝三国志…吉川三国志とほぼ同じ内容。漫画のため非常に読みやすくわかりやすい。
三国志入門には人形劇と共にオススメ。
★人形劇三国志…映像系三国志の最高傑作。人形劇とはいえ大河ドラマ級の本格的な作りであり
芸術作品の域だといっても過言ではない。
★北方謙三三国志…読みやすい小説三国志。人物の心理描写まで詳細に描かれた秀逸な出来。
ただクセが強いので好みがわかれる。 三国志に神を見た 吉川英治を読んでから司馬遼太郎を読んだ時に落差は今でも忘れられない。「読み終えたくなかった」本の筆頭がこの三国志だ。底本はおそらく三冊程度だろう。この圧倒的な表現力。今の作家のだれがこれに比肩しうる表現力を持っているのだ。吉川英治は神だ。文句はあるか?
諸葛孔明 三国志 一度読んでみたいと思っていましたが映画 レッドクリフのコマーシャルを見て決断し購入し一気に読み終えました。歴史の時間に習った知識も薄れていたのですが
劉備?確か教科書にでてたな曹操も聞いたことあるな 張飛?知らないな といった知識で読み始めたので本当にワクワク興奮しました。唯一知っていたのは諸葛孔明だけでした。諸葛孔明の事をもっと知りたいと思い三国志を読み始めたのでしたが諸葛孔明が出てくるのは全編8巻の後半でした。前半は曹操にあこがれながら読んでいましたが、後半の孔明を知り本当に感動しました。今まで持っていた孔明に対する思いは非常に賢い人間というイメージでしたがこの本を読んで孔明の頭の良さに感銘する以上に彼の人間性の素晴らしさに感動しました。本当に孔明のような人は過去未来世界中探しても中々でてこないでしょう。もちろん三国志が浪花節の要素を踏まえており史実に必ずしも後付けされていない部分も多いことを考えてもです。
八巻の最後、吉川英治さんの孔明に対する評価偉大なる凡人のところにでてくる老人の孔明にたいする言 孔明は普通の人となんにも変るような事はありませんでした でも彼が死んだ今になって考えると あのような人はこれからもう二度と現れないのじゃないかと思うのです という 言葉は本当に孔明の人物像を表しているように思いました。 今の世の中にも孔明のような政治家が出てきてくれるとよいのですが。 三国志には詩がある 1989年4月11日リリース。『桃園の巻』と『群星の巻(前半)』からなる。吉川三国志は劉備・関羽・張飛の桃園の義盟で始まる。時は日本では卑弥呼が邪馬台国を統治していた頃、中国では後漢末期にあたる。
まず苦言を呈したいのは新装五巻分冊となった今の文庫はその始まりたる『序』を無下無謀にもカットしてしまった。最終巻では『篇外余録』をカットしてしまった。これは吉川三国志を単に理解していないだけでなく、作者の意図というものに対する出版社の使命というものも無視した愚行だ。故に真の吉川三国志を理解するには作者の意図の通り編した旧八巻分冊のものしかありえない。
『序』で吉川英治はこう言っている。
『三国志には、詩がある。単に膨大な治乱興亡を記述した戦記軍談の類でない所に、東洋人の血を大きく搏つ一種の諧調と音楽と色彩とがある』
正にこの『序』にこそ吉川英治の三国志に対する私信が集約している。この『序』なくして吉川三国志にあらず、だ。
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文庫版 三国志完結セット 全13巻+読本
・北方 謙三
【角川春樹事務所】
発売日: 2002-12
参考価格: 8,394 円(税込)
販売価格: 8,394 円(税込)
Amazonポイント: 83 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 7,000円〜
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・北方 謙三
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カスタマー平均評価: 4.5
正史に基づく三国志 とはいえ、いろいろなところに作者によるフィクションがあり、北方氏の作品が好きな人にはいいかもしれませんが、私はちょっと、、でした。演義を基にする吉川三国志に比べるとメリハリに欠けることは事実。ただ蜀の人材に対する偏りがある演義に比べると、人物は等身大に近いのかなと思います。不満点は関羽がほとんど目だった活躍をしないこと、それとは逆に張飛が実像以上に大きく描かれていることですね。これはちょっと違うぞと思っています。また劉備の徐州での呂布とのやり取りは劉備のシナリオどおりに動いたというところもちょっと違うんじゃないかなと思いながら読んでいました。北方三国志の中で最も光を放っていたのは周瑜でしょう。吉川版ではかなりかわいそうな扱いですが、こちらではまさに一代の英傑。三国志の中で、様々なターニングポイントがあったと思いますが、一番のエポックが周瑜の死ではないかと思いました。周瑜、孔明、若き日の曹操等、非常にきれいに描かれている反面、曹丕や司馬懿といった人たちは、有能な反面かなり屈折した性癖の持ち主として描かれています。その場その場の大義名分での善悪や能力の優劣を問うのは、ある意味仕方がないと思うんですが、性癖によって好悪の感情を刺激するのはちょっとどうかなと思いました。三国鼎立を終結させるのは、司馬懿の孫なんですが、あまりいい気にならないですよね。 面白いのだけれども。 三国志といえば吉川英二の三国志がイメージに浮かぶ私としては、
読み始めてしばらくはイメージとのギャップに少し戸惑った。
ただ英傑達の人間臭さは読み進めるうちに違和感も無くなり、
結果的に非常に楽しめる作品だったと思う。
吉川三国志(あるいは横山三国志や人形劇)しか知らない人にも、
是非読んでいただきたいと思う。
ただ表現方法に少し気になる事もあった。
恐怖を感じたときに「肌に粟立つ」という表現ばかりであること。
言葉や行動を強調する表現が同じ単語の繰り返しばかりな事。
(揉みに揉み、駆けに駆け、攻めに攻めなど)
人物の性格付けや心理表現は面白かったのに、
それら以外の表現方法にやや乏しさがあるのは残念である。
生き様 散っていく男たちの生き様に魅了される。私は、中でもシュウユが好きで心の奥まで彼の生き様に感動した。いろんな武将の生き様を深く深く感じ取ることができ自分の人生を見つめ直す良いきっかけができた。 H 性的に過激な内用が多いです 人によっては不快な気分になる人もいると思いますので注意が必要な本です。 心が動いた・・ 1巻を手に取り、ページを開いた。「草原が燃えていた。」冒頭の文章から、見たこともないのに私の頭の中には鮮明な映像が描かれていました。最初は狭い範囲の映像が読み進むうちに広大な大地の映像に切り替わっていく・・・。今までにない経験でした。三国志に関しては、何の事前知識もないまま「ただ長編の物語が読みたい」という動機で、読めるのかな?との不安も持ちつつ、いきなり13巻を購入しました。女性の私でも登場人物の人間描写には「義」という芯を強く感じたし、その価値観の相違によって生まれる「生き様、死に様」のもどかしさも十分に体験できました。涙したシーンは数知れず・・。すべて読み終えたのち、次はいつから読み始めようか?と思える大切な宝物になりました。
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[ 文庫 ]
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三国志 (1) (潮漫画文庫)
・横山 光輝
【潮出版社】
発売日: 1997-11
参考価格: 680 円(税込)
販売価格: 680 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・横山 光輝
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カスタマー平均評価: 4.5
よくできた三国志 漫画で読める三国志
内容は、黄巾賊の乱から始まり、有名な梨園の誓い、鉄門峡の死闘までを
含んでいます。また巻末には、地図、年表、そして関連する写真など
が10ページぐらいにコンパクトにまとめてあります。漫画は
これらの巻末の内容を理解していなくても読めます。
もともとの漫画は1974年に出版されこの文庫本自体1997年と
かなり古いほうに属するのではないかと思います。
しかし、全然古さを感じないすばらしい内容の本になっています
手元にある本で36刷なので、多くの人が読んでいるものだと思います。
漫画で三国志が読めるとは思いもしませんでした。
是非読んでみてください。 始まり、始まり 先ずは「桃園の誓い」。
働いて貯めたお金で当時は高価なお茶を母のために買う。
ほのぼのとするお話ではありませんか。
が、しかし母も母なれど、
「貧しい暮らしをしているうちに
我が家の幸福だけを考える人間になってしまいました」と
自戒する玄徳さん。
ハッとしますね。
さぁ、物語の始まり始まり。 分かり易く、面白く学べる。 三国志を分かり易く解説してくれる良書です。
劉備の生い立ちなどから記載されています。
三国志をこれから学ぼうと考えている小学生でも十分楽しめる内容となっているように思います。
俺は趙雲派。君は何派? 人間の生き方は様々だ。
例えば会社員。
定年するまで一社にこだわり続ける生え抜き。
転職を繰り返し天職を求める渡り鳥。
会社を立ち上げて一旗あげる起業家。
例えば三国志の人物。
義父を裏切り殺し、主人を裏切り殺し、部下に裏切られ殺された
"三国志最強の武将"「呂布」。
我が子の命よりも、部下の命を惜しんだ
"むしろ織りから皇帝へ"「劉備」。
主人を守るために体中に矢が放たれハリネズミになるまで戦った男もいた。
7回戦って、7回負けて、7回解放された末に服従した男もいた。
千の兵力で十万の兵を打ち負かした男もいた。
三国志には、そんな男たちの武勇伝が所狭しと詰まっている。
男の生き様、男のロマンに溢れた、文句なしの名作である。 私の三国志人生の端緒 昭和59年、単行本第17、18巻を買った時から、本作品の魅力に引き込まれて三国志ファンになりました。横山光輝さんには感謝するのみです。あれから22年。正史の記述を一言一句分析し、歴史の真実に挑む自分がいます。ありがとう。横山光輝三国志。今では時代遅れな画風ですが、落ち着いて…ちょっと一服ついでに文庫版のどれかを読む…引き込まれる俺…有意義な一時です。正史正史と目くじら立てる状態から、ふっと初心に戻れる懐かしいでは済まされない作品です。
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[ 文庫 ]
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三国志〈2〉 (吉川英治歴史時代文庫)
・吉川 英治
【講談社】
発売日: 1989-04
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・吉川 英治
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カスタマー平均評価: 4.5
曹操 劉備や関羽などの第一巻で主役を成した登場人物を押しのけ魅力たっぷりな人物曹操が登場します。自らを乱世の姦雄と認める彼は成長するにつれ自分の才能と運を生かしやがて世の中を動かして行きます。三国志はの時代を素直に見れば曹操が主人公でしょう、後半出現する孔明と劉備の出会いがなければ歴史はどうなっていたのでしょうか。いろいろ想像しながら読めるのが歴史小説ですよね。 傾国の美女貂蝉 1989年4月11日リリース。『群星の巻(後半)』と『草莽の巻(前半)』からなる。この巻では圧倒的な強さをみせる呂布が中心で、その呂布を董卓から引き離すために貂蝉が登場する。おそらく『三国志』で最も印象に残る女性はこの貂蝉ではないか、とぼくは思う。貂蝉にすっかりまいってしまう呂布がどこか微笑ましいし、目的を達して死んでいく貂蝉にも感じ入る。
これを機に呂布の時代が来るわけだが、呂布は貂蝉を忘れられず、貂蝉に似た女を娶ったりもする。張飛もそうだが呂布のこういうところが男の純な一端を見るようで好きだ。
現代にも袁紹や董卓のような輩は跳梁跋扈している。見ているだけでイヤになる。だから余計にどこか純な呂布や張飛に惹かれてしまうのはぼくたけだろうか。 大きく動く! 董卓が死に、曹操、孫策がどんどん強くなっていきます。
三国時代につながっていく序章というところでしょうか。
読めば読むほど先が読みたくなります。
呂布は強いなあ 第2巻は黄巾の乱が治まって、その後に実験を握った董卓が暴政を行い、その董卓と他の豪傑たちが戦うという辺りがが描かれています。メインとなっているのは、董卓の家臣である呂布がとんでもなく強いので、董卓と呂布を仲違いさせるべく、貂蝉という美女が二人に色目を使って騙す物語です。この部分は実話ではなく、貂蝉も実在の人物ではないそうなのですが、三国志のひとつのクライマックスと呼んでも良い盛り上がりを見せています。
この巻では玄徳がいまひとつ目立たないのが玉にきずなのですが、曹操、袁術、呂布といったライバルたちの性格が徐々に明らかになって来ていて、今後に対する興味をつなぎます。
勢いに乗る曹操 若かりし曹操が力をつけていく様が力強い文体で描かれていく。途中、いなごの大群が出てきたりして、そういう不確定要素が歴史の舞台に登場してくるのが面白い。
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[ 単行本 ]
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横山光輝三国志大百科 永久保存版
【潮出版社】
発売日: 2003-04-22
参考価格: 2,000 円(税込)
販売価格: 1,900 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 973円〜
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カスタマー平均評価: 4.5
横山三国志が最初の三国志 違う作者の三国志を読むと、物語が全然違う。
横山さんの三国志が正しいと信じていた自分が懐かしく思います。
なんといっても、董卓がやせていることで有名ですが、絵が優しい。
歳をとらないし、顔の線が少ない。
ゆえに老若男女誰でも読むことが出来ます。
親が、"そんな漫画を読んで"と発狂することがあるかもしれませんが、文庫本で30巻あります。
それだけの巻数を把握できる頭を持つ子供ならばきっと頭脳明晰なはず。
母親を論破できるでしょう。
そんなことはいいとして、星2つ減らしたのは、
本書の解説があまりにも横山三国志に偏っているからです。
偏っているのが当たり前だと思うのですが、横山三国志が正しい三国志として解説しているので、違う三国志を読まない人は信じてしまう可能性が高い。
劉備が正義、曹操が悪でもいいのですが、どうせ三国志を堪能するなら、登場人物すべてが英雄扱いしてほしいと思ってしまいます。
横山三国志のファンなら持つべし。 永遠の謎は闇の中 僕は横山先生の三国志は総合10回以上は読みました^^やはり、魅力はその当時流行ったであろう手塚タッチっぽいほんわかした画質、血肉を争って驚嘆するシーンなどを歴史の重大さとして伝える想像力。それらの魅力に押し倒された一人でもあり、それを総合化して各巻に散らばっているおもしろさを凝縮していて、読み返しの利くまさに横山三国志の全てといえるでしょう^^
これが、歴史書目線(マンガですが)で見たなら、☆5はなかったでしょう。横山光輝の個人栄華の産物だ!という評論しか生まれてこないでしょう^^;しかし、これはその産物が為の集大成なのです^^
すみませんが、文句のつけようがありませんでしたw
文句・・・というか謎というか、本書の中にも投げかけられている問題が一つあります。
それは歴史的にも三国の覇者を決めたであろう【官渡の戦い】をわずか数コマで終わらした事です^^;
これには多くのファンの方が首を傾げたかと思われます。
それについての評論などが編集員によって問いかけられています。
遅れましたが、他には中国の地図、各州・地方の城や名所(省きあり)、三国志から生まれた故事ことわざ(一部紹介)、各巻の名場面集、【これはみどころ】ピックアップされた名高き武将達の解説などが事細かに書かれています^^(他にもありますが伏せておきます)
最後に、僕は三国志が好きです。僕の中では1か2を争うぐらい好きです。このレビューを書きながらふと思いましたが、三国志本来はもちろん好きですが、それを越えて横山三国志を好いていたのかなぁという気がします。 あくまで横山光輝氏の三国志のファンの方向けですが 蜀贔屓度は 三国志正史<三国志演戯<<横山光輝 三国志 くらいです。 その点を理解している方、横山光輝氏の三国志が大好きな方にはかなりの良書です。 やはり一番の見所は「主要人物30人徹底解剖」で、「特選キャラクター事典」も主要人物を全てカバーしきれていないのが残念とはいえ、かなり楽しめます。 付属のDVDは、収録時間は短いものの三国志にまつわる中国の名所を回る横山氏という相当な貴重映像。DVDが付いて2000円はなかなかにお買い得と言えます。 氏の三国志が好きな方はすぐにでも購入する事をお勧めします。 満足 横山光輝氏の三国志ファンならば見逃せない一品です。コレを読むことによって、もう一度三国志の世界を見直せると思います。(^^) 横光氏のファンならば・・ 演戯ベースである以上仕方のないことですが、蜀贔屓。魏・呉についてはいまいち。 一番大きなマイナス点は、魏や呉の重要な武将が最後にある人物辞典に載っていなかったりすること。 三国志についてかなり知識を持っている人だと物足りなさを感じるけど、軽く楽しむ分には十分。 漫画が好きなら買っても良いでしょう。
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[ 文庫 ]
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三国志〈4〉 (吉川英治歴史時代文庫)
・吉川 英治
【講談社】
発売日: 1989-04
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 135円〜
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・吉川 英治
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カスタマー平均評価: 5
ごめんなさい 三国志〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)僕は孔明という人物は凄い策略家と思ってました。こんな凄い人物というか人間らしい人とは知りませんでした。吉川さんの考えと趣味が色濃くでているのでしょうけど。でも本当に知りませんでした。何度も書きますけど本当に今の日本に孔明のような人々の幸せを世の中の平和を考えて 自分の生涯をかけるような才能のある人物が欲しいです。 関羽の心、そして三顧の礼 1989年4月11日リリース。『孔明の巻』と『赤壁の巻(前半)』からなる。まさにこの巻は『三国志』全体のクライマックスとも言える部分だろう。特に劉備の家族を守るために曹操の元に身を寄せた関羽の一途な心に唸ってしまう。曹操のいかなる厚遇にも関羽の心は動かされない。一方、曹操の武人の心根にも感じ入る。正に男と男の世界である。
中間部でついに諸葛孔明が登場。ただその登場のさせ方に念が入っている。所謂『三顧の礼』をもって孔明を迎え、ついに劉備の周辺に『人』が揃う。そして孔明が一気にその全能力を知らしめる『赤壁』へと突入。まさに映画『レッド・クリフ』は最も『三国志』で濃密なここを題材としている。
おそらくは全中国国民にとって最も語られる史実はここではないか、と思える。その全容を余すところなく描くダイナミックな筆に唸るばかりだ。 孔明登場! 曹操は北方の袁紹を破り領土を一気に拡大。
その一方で劉備は有名な三顧の礼をもって遂に孔明を迎え入れます。
徐庶から孔明の名を聞きついに出会い軍師に迎え入れるまでのくだりはついつい時間を忘れ、夜を明かして読んでしまいました。
いよいよ孔明ひきいる劉備軍の快進撃が始まり、読み出したらとまらないおもしろさが加速していくのは間違いありません! 詩的なほどに美しい、曹操と関羽の覇陵橋での別れ 「江東の小覇王」孫策が若くして病に倒れ、さらに若い弟の孫権が呉を引き継ぐ。中原に目を転じると、曹操が河北の袁紹を遂に滅ぼし、中華制覇の野望をその視野に入れる。劉備は国力、兵力ともに相変わらず微小で、天下から程遠い位置にありながらも、「三顧の礼」をもって、諸葛亮を軍師に迎え入れることに成功する。いよいよ、「三国志」の型が形成され始め、物語は佳境へ突入していきます。
この第四巻には、そうした歴史の激動とともに、この物語のターニングポイントとなる幾つかの印象的な邂逅と別離が描かれています。曹操と関羽の覇陵橋での別れ、曹操の姦計による劉備と徐庶の別れ、そして言わずもがなの「三顧の礼」。この中でもとりわけ、曹操と関羽の別離の様は、詩的といえるほどに美しく、息を呑みます。関羽の旧主劉備に対する不変の忠義、彼の武と義をあまりに愛するがゆえ、見送らざるを得ない曹操。彼はこうなることを分かっていながら、一縷の望みを賭けてひたすらに関羽を渇望し、そんな曹操の胸中を察する関羽もまた見事なまでの武人らしい信義を通した上で、袂を分かちます。曹操のような男に仕えたい、あるいは、関羽のような男を手中にしたい。男であるならば、ある種の羨望交じりにそう思わせる、個人的には三国志で最も好きなワンシーンです。
孔明はスゴイ! 孔明登場。孔明が活躍する様が描かれ始める。これまでも、劉備だけでも素晴らしかったが、天才軍師が出てくることがいかに凄いことか、まざまざと見せつけられる。戦の読みは恐ろしく深い。
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[ 文庫 ]
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三国志〈3〉 (吉川英治歴史時代文庫)
・吉川 英治
【講談社】
発売日: 1989-04
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 40円〜
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・吉川 英治
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カスタマー平均評価: 5
劉備 実は劉備に関する資料はあまり無いそうです。この第三巻あたりの劉備は曹操に比べてあまり魅力が無いように写ります。曹操は日本で言えば織田信長のような感じに描かれ武士というよりはアーチストだったのでしょう。そして全て読み終えて劉備亡き後の孔明の苦難努力を考えると劉備はもう少し野心を表に出して天下統一に突き進んでくれればなと悔やんでなりません。でもどうして劉備関羽張飛の三人はこれだけ負けても死なずに生きながらえたのでしょうか。逆に考えると劉備のような人間は何人も存在していてその中で生き残れたが劉備だったのでしょうか? 私の大好きな孔明と曹操
が好きになった劉備ですから凄く魅力ある人物だったのでしょう。でも劉備のような人間が現代の日本に僕の隣に住んでいても何の興味も持たないような気がします。人物は時代とともに生きるのですよね。今の日本に必要なのはやはり いやいつの時代でも孔明かな。 赤兎馬が駆ける 1989年4月11日リリース。『草莽の巻(後半)』と『臣道の巻』からなる。赤兎馬に又がり最強だった呂布の最期に始まり、中心で勢力を増す曹操との接点に集中する劉備の動き、そして血判と印象深いシーンが続く巻だ。
だがぼくにとって最も印象的だったのは『黒風白雨』での猟師劉案が劉備を宿泊歓待するために、妻を殺して饗した場面だ。吉川英治はここで一度『三国志』の筆を止め、この場面に対する私信を述べている。曰く、日本の古典『鉢の木』を例に挙げ、最明寺時頼が寒飢をもてなすために、寵愛していた梅の木を伐って、炉にくべる薪にした鎌倉武士の話と比較し賞賛している。吉川英治が『三国志』の筆を止め、私信を述べるのは、この場面とラストの孔明の死の場面だけで、いかに吉川英治がこの場面の自分の思うところを誤解なく、読者に伝えたかったか、が分かる。
閑話休題。赤兎馬は関羽へと引き継がれる。この馬の最期などまさに『三国志』そのものだとぼくは思う。 陳宮が素敵 呂布の最期が印象的な第三巻ですが、私は陳宮の健気さが大好きです。
どんな策を献じてもまともに実行してもらえず、すぐに取りやめられたりします。
ふてくされたりもしますが、乞われればなんだかんだで嬉しそうに献策してます。
そして曹操との問答のシーン。
饒舌に堂々としていて、潔く格好いいです。
あの曹操と互角だったです間違いなく。
また、暗愚も暗愚な呂布だけど、陳宮はわりと好きだったんだなぁとなんだかグッときます。
そんなデコボココンビにグッとくる3巻です。
そしてそういう目で読むと、陳登・陳珪親子の小賢しさがこの上ないです。
印象的な場面が多い第3巻 三国志の中で最強の武将、呂布が死に、矢で射られた片目を食べてしまった夏候惇、敗走する劉備にせめてものもてなしをと妻の肉を出す話など、非常に印象的な場面が多い第3巻です。
玄徳ピンチ 第3巻で描かれるのは、董卓や呂布の時代を経て、曹操が都の実権をほぼ掌握した時代です。皇帝をないがしろにする曹操に対して危機感を持つ武将たちが打倒曹操の誓いを立て、玄徳も彼らの仲間となります。ところが、曹操暗殺計画が失敗に終り、玄徳もこの一味に加わっていたことを曹操に知られ、逆賊として討伐される身に陥ります。
討伐軍に敗北した玄徳は、関羽・張飛と離ればなれになってしまいます。曹操は関羽の軍人としての腕前と忠義の心に惹かれ、玄徳の妻子の命を助けることを条件に彼を配下に置きます。いよいよ話が盛り上がって来たところなのですが、私は4巻を持っていません。これから買いに行ってきます。
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[ 文庫 ]
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三国志〈5〉 (吉川英治歴史時代文庫)
・吉川 英治
【講談社】
発売日: 1989-04
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 120円〜
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・吉川 英治
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カスタマー平均評価: 5
喬公の二名花と『レッド・クリフ』 1989年4月11日リリース。『赤壁の巻(後半)』と『望蜀の巻(前半)』からなる。映画『レッド・クリフ』のPart2にあたる部分がこの巻だ。
なんと言っても読み応えがあるのは諸葛孔明が単身呉に乗り込み、三寸不爛の舌で孫権を説き伏せ、魏の曹操と戦わせるシーンだ。実にスゴイ。それ以外にも最終巻ラストで謀反を起こす魏延の謀反を既に予知するなど全編に渡り、諸葛孔明とはいかになる人物であったか、を堪能できる。
また、『レッド・クリフ』では編集変更された感のある『喬公の二名花』も登場。そして三国志史上最大の決戦『赤壁の戦い』の結末シーンと驚くばかりの濃密な内容に圧倒される。 曹操軍粉砕!赤壁の戦い 強大になった魏の曹操軍が呉をうちにゆく赤壁の戦いの巻。
孔明の弁により魏と全面対決することとなった呉の周瑜は火計を用いて魏軍を粉砕するもののその後孔明の才を恐れて多くの策を弄します。
ギリギリまで追いつめられた状況で全力をもってこれを克服した呉ではありますが、大勝ののちは余計なことをして空回りの連続です。
結局空回りする周瑜は孔明に翻弄されるのみで最後はこの世を去るはめに。
実生活に照らし合わせてみると、呉の行動には多く学ぶべきところがあるような気がしました。
吉川三国志のハイライト 世に名高い「赤壁の戦い」が最大の見所。若き二人の知将、孔明と周瑜が、曹操のお株を奪う見事な計略をもって大勝利を飾り、魏一強時代の終焉を高らかに世に示します。ただ、この戦いを見るにあたって、戦術面だけに着眼するのは、もったいない。戦いの裏で進行する「政治的な戦い」もまた、さながら戦場のごとき熱を帯び、注目に値します。
魏と対峙して、がっちり手を結んでいるかに見える劉備と孫権。が、それぞれの看板軍師、孔明と周瑜は、お互いの大義と実利を絡ませあいながら、早くも「赤壁後」まで見据えて、丁々発止の「知の戦い」を水面下に繰り広げます。敵か味方か定かならぬ、なんという外交の奥深さ。多くのビジネスマンが部下に読ませたい本として推すのも、まさにこのあたりの「交渉事の深淵」を体感してほしいからでしょう。
軍師が前面に出た「赤壁」の一方で、猛将の胸躍る見せ場「長坂坡の戦い」もあります。ここでの主役は、関羽の陰に隠れがちであった張飛と趙雲。魏の大軍の中からただ一騎で劉備の子を救出してみせる「趙雲の一騎駆け」。たった一人で、長坂橋の上に立ちふさがり、彼らしからぬ思わせぶりな演出と、実に彼らしい豪胆な一喝で曹操を退けてみせる、「張飛の仁王立ち」。彼らの名声を不動のものとした、あまりに有名なこの大活躍をもって、劉備は滅亡を免れ、形勢逆転の足がかりを掴みます。
超人的な知略と武勇、そして、盛者必衰のダイナミズム。戦国の世を彩るあらゆる要素が凝縮されて、読者を飲み込む、恐らくシリーズ八巻中で最も華やかな一冊です。 描かれる赤壁の戦い 赤壁の戦いが描かれる。三国志最大の戦いとあって、その様は凄まじい。単なる兵力より、兵法や戦の流れ、環境の正確な分析が大きくものを言うことがよくわかる。栄華を気づいた魏が傾いていく。これにより、三国志の行く末が面白くなる。 落ちつつある曹操、孔明との攻防 いよいよ赤壁の戦いが始まります。しかし、こう裏ばかりかかれるとなんだか曹操が気の毒に。孔明ファンですが曹操も好きなので、ここまで自信満々にされると何だか憎たらしくなります。
一時とはいえ世話になった曹操を討つに忍びなく、見逃してしまう関羽の真情を読んでいながら、関羽の訴えを受け入れて一網打尽にできる場所へ関羽を派遣する孔明。関羽・曹操・孔明3人の立場と心情が見もの。
周瑜がとうとう消えてしまうのも、何だか寂しい。
赤壁の戦い自体はあれよあれよという間に曹操方が追い詰められ、結末を知っているせいか思ったよりも臨場感がない感じがしてしまいました。両陣営の登場人物の描写の方が面白いです。
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[ 文庫 ]
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三国志 (8) (吉川英治歴史時代文庫 (40))
・吉川 英治
【講談社】
発売日: 1989-05
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 180円〜
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・吉川 英治
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カスタマー平均評価: 4.5
所々で「なんか残念」 確かに面白いのですが、「三国志本」としても「文芸書」としても中途半端な印象を受けました。
「良い点」は他のレビュアーの方々が沢山書かれているので、
個人的に「残念だった点」を書かせていただきます。
・途中で終わる
三国志の最後まで描かれていません。諸葛孔明が死んだ時点で終了しています。
理由は「これ以降は面白くないから」。これには驚きました。
「三国志」というタイトルなのだから、題材とした三国志の最後まで書き切って欲しかった。
私は「三国志本」として最後まで読みたかったので、がっかりです。
・著者のコメントが本文中に出てくる
一般的に「あとがき」に書かれるような内容が、本文中にちらほら出てきます。
物語に集中しているところに水をさされたようで、いい気持ちはしません。
(もともと新聞で連載していたものを数冊の本にまとめたものであり、
巻ごとの「あとがき」は存在し得ないので仕方がないのですが…。)
仮にも描いているのは「物語」なのですから、
著者の解釈による説明など、本文中に堂々と挿入するものではありません。
また、死んだ人物が後の戦で再登場、なんてミスがあるのも残念な点です。
とはいえ、読んでよかったと思うのも事実。
「三国志本」や「文芸書」としてではなく、「吉川氏の文章」と割り切れるのなら
良いのではないでしょうか。 『篇外余録』なき吉川三国志は吉川三国志にあらず 1989年5月15日リリース。『五丈原の巻』と『篇外余録』からなる。最近五巻に編集され直したものはこの中の『篇外余録』をカットしてしまったとんでもない代物で、真の吉川三国志を読了するためには、旧来の真摯に作者の意図に作られた八巻建てのものを選択することが必定だ。こういう勝手な再構成がまかりとおる講談社の体制はただ嘆かわしい、とまずは申し上げておきたい。『篇外余録』は『諸葛菜』・『後蜀三十年』・『魏から--晋まで』からなる後日談・エピソード集にあたるもので、諸葛孔明の死をもって自身の三国志の投了とした吉川英治の意図に基づき別立てとした三国志の一部であるのに無理解極まりない編者である。
有名な『泣いて馬謖を斬る』のエピソードはこの『五丈原の巻』の前半に登場する。それも諸葛孔明の数多あるエピソードの一つに過ぎない。この稀代希なる真の軍師の人間性この『五丈原の巻』に極まる、と思える。前半のような群雄割拠とは大きく異なり、託すべき人材のなさに苦しむ孔明の姿は、天才軍師も人無くして、一事は達し得ないことを感じさせる。
時に神格化され、あたかも霊能力者のようにも書かれ、諸葛孔明という人に対する中国国民の思い入れが随所ににじんだラストである。 孔明に尽きる 第8巻は、玄徳亡きあと孔明が主人公。またかつての三国志の英雄たちもなきあと、司馬仲達との戦いが続く。孔明の一つ一つの策が、現代のビジネスや人生観につながる。
まさに格言に近いと思います。三顧の礼から、天下三分の計?、関羽、張飛、超雲らの優秀なプレーヤーとエース玄徳を盛上げる名参謀。まさにいろんな場面で「孔明ならどうしたか?」と考えてしまうケースもあるでしょう。
三国志という物語を超えてしまった感がありますが、最後まで主を想い、国を想う彼の一途な
「志」は今の時代に必要な「気概」だと思うのは自分だけでしょうか。また吉川三国志を読む機会を持ちたい。 諸葛菜 孔明が死ぬまで中原征服に向けてまい進しついにこれを果たせず死んでいく巻。
原書のひとつである三国志演義では司馬氏率いる晋に三国が統一されるまでを記述しているが、吉川英治の三国志は孔明の死とともに物語が終わっている。
孔明ほどの天才軍師でも中原征服をなしえなかったことに非常な残念さを感じつつ物語が終わってしまうが、篇外余禄に孔明の人となり、その後の歴史が記載されている。
この中で、「諸葛菜」は孔明のひととなりについて著者が考察を行っており、非常におもしろい。
豊臣秀吉をひきあいに出し、孔明ほどの天才でも、天才であり完璧であるがゆえ優秀な人材が他国に比して集まらなかったのでは、という考察には非常に納得感を感じる。
8巻読みとおしてみた感想として、諸葛孔明の偉大さが印象深く残る物語である。 諸葛孔明と周恩来がかさなる 自分にとって孔明の人物像を頭に描くのはむずかしかったが周恩来だと孔明のイメージにピッタリと合う感じがした。最期まで民衆の為に尽す姿が重なった。
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[ 文庫 ]
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三国志 (1の巻) (ハルキ文庫―時代小説文庫)
・北方 謙三
【角川春樹事務所】
発売日: 2001-06
参考価格: 600 円(税込)
販売価格: 600 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・北方 謙三
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カスタマー平均評価: 4.5
桃園の誓いが無い!? 高校時代に読んでいた某雑誌の相談コーナーにおいて、
やたらと「○ープに行って来い」を連呼する濃い顔のヘンなオジサン、
それが北方氏でした。以来、20年近く私は北方氏の小説を読むことなく
「そういう人」だと思い込んで過ごしてきました。
一方の吉川三国志は高校時代から何度となく読み続けてきたので、
「あの」北方氏が書いた三国志なんて・・・と読まず嫌いをしていました。
折からの三国志ブームで、北方ファンの友人から氏の書いた
「三国志の英傑たち」を借りて読んだところ、氏の三国志に対する
深い愛情を感じ、また、「どうして関羽は劉備に従ったのだろうか」
という今までごくごく「当たり前のこと」として考えもしなかったことを
徹底的に考察して、再構築しドラマチックに描ききる類い希な才能に
敬服しました。
そのひとつの例として北方三国志には「桃園の誓い」がありません。
でも、読んでみればわかるのですが、まったく違和感がなく、
むしろ、関羽、張飛が劉備に徐々に惹かれていく様子は吉川三国志よりも
説得力があると私は感じました。
呂布や曹操にしても、吉川三国志と描き方がずいぶんと違うけれど、
やはり違和感よりも、「ああ、たしかにそうかもしれない」と
イマジネーションをかき立てられることの方が多かったです。
ということで、北方謙三のことを「某雑誌の相談オジサン」程度にしか
認識していない、私のような「吉川三国志原理主義」の方は、
是非一度読んでみて下さい(^^)。
読まず嫌いをするにはあまりにも惜しい作品ですから。 面白いが吉川三国志の勝ち 正史をベースとした三国志ということで今まで読んだ吉川三国志等とは異なった面白さを期待した。たしかにそれぞれのキャラクターも話の流れも異なっており、新鮮さを感じたが、全巻読み終わっての正直な感想は、吉川三国志の方が圧倒的に面白いということである。正史ベースとはいっても、そのベース自体も本当に事実が書かれているかかどうかなどわからないのである。そうであれば読み物は面白いに限る。北方三国志しか読んでいない人は是非吉川三国志を読んでみるべきである。何か表面的な北方三国志に比して話の深さが違う。 三国時代にタイムトリップ のっけからアメリカ西部劇さながらに展開する平原での馬泥棒(賊徒たち)と劉備たちの攻防戦では手に汗握るリアルさに圧倒されました。
人物の感情の機微が細かい動作にも表されているし、戦闘ではとくに、勝ったにしろ負けたにしろそれに至る過程がよく描かれているのでストレスなく読み進めました。
ここぞというクライマックスの表現がまたかっこいいんです。
巻末の孫堅死亡で思わず落涙してしまいました。
「なにかが、躰を貫いていった。背中から胸へ。光か。そう思った。光に貫かれたような気しか、しなかった。 相変わらず、地平が見えていた。それが歪んだ。それから、また自分が目指している地平になった。あそこにむかって駈ければいい。ひたすら、駆け続ければいい。 空を見たいと思った。 首が持ちあがらなかった。 なぜか。 なぜかはまったくわからないが、自分がいま死のうとしているのだということを、孫堅ははっきり感じた。」
この巻で一番好きな文章です。 今後に期待 武将個人の武勇にフォーカスしない戦闘シーンなど、吉川英次などの従来の三国志と差別化したいという志が垣間見える点は評価できると思います。
一方、ごく一部の例外を除いて、劉備と曹操がほとんど同じキャラクターとして描かれているなど、多くの登場人物が類型化した数パターンでしか、描き分けられていません。
この調子で全館読みきるのはつらそうですが、最後まで読むかは一緒に購入した第2巻まで読んでから判断したいと思います。
過ぎたるは及ばざるが如し 北方氏の本を始めて手にした。結構読みやすいように感じた。
三国志に関して言えば、これまで小説、漫画、資料、ゲームといろいろ接してきて、マニアほどではないが、結構詳しいつもりだ。でもやめられない三国志。そこに素材そのものの素晴らしさを感じる。
本書は劉備の登場から始まる演義系の書籍だ。人物描写はやや軽いような印象もあるが、それはそれとして、展開が軽やかでせっかちな自分には適しているような気がした。
しかし、もう少し緻密に人物、歴史を描写できるのではないか、すこしだけ残念だ。
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