J-ROCK音楽店

タンクにタイガ−ぶち込むぜ！（Ｔ・ＲＥＸ中級編）
Ｔ・ＲＥＸは権利関係が複雑で、超マニア向けのレア・トラックスなどが大量に出まわっています。その為、たまたま買ったアルバムで最悪の出会い方をしてしまったロック・ファンも多いと思います。まだ一度も聞いたことのない方には、＜グレイテスト・ヒッツ＞、＜電気の武者＞、＜ザ・スライダ−＞などが適しています。まずは、そちらをお試し下さい。

さて、このアルバムの内容と言えば＜Ｂサイド・コレクション＞、つまりシングルのＢ面集な訳ですが、これが名曲揃いなのです。ゲット・イット・オンやメタル・グゥル−等のヒット曲を一通り堪能したら、是非、一聴をオススメします。当時、マ−ク・ボランはシングルとアルバムを別物として考えていたらしく、アルバム未収録がかなりあります。特に、７２年のトラックは一部のファンが知っているだけではあまりにもったいない隠れた代表曲と言えるでしょう。とにかく、グル−ヴが最高です。

ファンク、ソウルで構成されたシンプルでちょっとダンサブルなロック
『アヴァロン』が、リスナーを完璧な音作りにひたすら恐れ入らせてしまうのに対して、『サイレン』は、同じく、ソウル／ファンクを取り入れ、アルバム全体をうまくまとめながらも、しかし、『アヴァロン』よりも、ディスコティックでダンサブルなビートが続きます。ロックの歴史から見ると、他人が真似できない独自性があり、楽曲すべてのできがいいのは『アヴァロン』のほうですが、でも、『サイレン』のほうが親しみやすいです。

トラック１（4分07秒）は、人が歩み寄ってくる効果音、扉を開けカギを差し込む効果音、車が発進する効果音が順番に続くイントロで、シンプルなビートで、非常にディスコティック／ファンク。２（5分13秒）は、ピアノ中心、穏やかでメロディアス。３（6分13秒）は、暗いアンビエント（環境音楽）みたいなキーボード、ギターが流れる長いイントロのあと、フェリーの裏声気味のヴォーカルで始まったあと、ちょっと明るくまったりとしたソウルに変わるのがいい。４（3分35秒）は、ソウルフルだけど、一転して力強いロック。

５は、このアルバムで、ずば抜けた名曲。とにかく聴いてほしいです。ピアノが流れるイントロ、淡々としながら飛び跳ねるフェリーのヴォーカル、リズム楽器として成立したストリングス、爽快な前半（「売れっ子の彼女」＝「シー・セルズ」に浸る消費社会での熱狂）から一転して後半（熱狂の後に来る日常生活の退屈）のけだるいテンポ・ダウン。６（3分36秒）は、おとなしめのソウルだけど、５のあとだとさわやかで悪くない。キーボード中心のナンバー７（5分14秒）、イントロと終わりのギター・ソロがいい８（4分08秒）は、地味な曲を細かい音作りでもたせる感じです。９（6分27秒）は、１や５のような恋に対する倦怠感を滲ませながら、それでも尽きることなく繰り返される楽天的な愛を感じさせるフェード・アウト。
グラムロック、アートロック
アートロックムーブメントから抜け出たバンド。キャンピー＝滑稽なほど風変わりな感覚＝が凄く良く出ているアルバム。アートロックとグラムポップのエッセンスが程よくブレンドされたマジックを持つ奇跡的なアルバム。１０点中１０点　　ジャケットもこのバンドの持つ＝にせもの＝フェイク感覚をずばり表現
変幻自在のロキシーマジックをご覧じろ
SIRENはROXY MUSICの第5作であり、世間一般の評価も高く、ROXY MUSICとしては、後に出る「アバロン」と並ぶ傑作かつ代表作といえる。アバンギャルドな味付けを残しながら、ポップさを加味し、身構えずに聴くことができる。＃１「恋はドラッグ」と＃７「ボス・エンズ・バーニング」は恋に耽溺する？男ブライアン・フェリーそのものを彷彿とさせる名曲。アルバム全体を通して、時にバラード調、時にウェスタン調と変幻自在なロキシーマジックを楽しんでほしい。思うに、ブライアン・フェリーが歌っている姿・表情を一曲一曲想像しながら聞いてほしい一枚である。
美しいカバー、飾っておきたい
ロキシーミュージックの５作目のアルバム。１曲目にあの「ラヴ・イズ・ザ・ドラッグ」、４曲目の「ワールウィンド」７曲目の「ボウス・エンズ・バーニング」など、キャッチーなポップソングが多く聴きやすい内容です。

過渡期の作品だが、楽曲は粒ぞろい
７０年発表の４作目。新たにミッキー・フィンが参加してグループ名を短縮する前の最後の作品となる。明らかに過渡期の作品ではあるが、ティラノザウルス・レックスとしては初めてエレクトリック・ギターが導入され、従来のフォーク・タッチの曲に華やかさを加えている。まだ大半の演奏はボランの手によるものらしいが、ミッキーによるコーラスが加わり、ヴォーカル部分は既に後のサウンドになっている。楽曲のクオリティは更に磨きがかかり、後の激ポップ路線とは一味違った旨味のある曲が多い。後の彼らのプロト・タイプとして楽しむのも一興だが、むしろ別のグループとして聞くと彼らの生み出した貴重なサウンドが楽しめると思う。 ちなみに７．は後にエレクトリック・バージョンで再録音したテイクが発見されていて興味深い。
マニアの慰み物にしておくにはあまりに惜しい逸品
ティラノザウルス・レックスというユニットは、どうも「Ｔ．レッ
クス結成前のボランがやっていたアンダーグラウンドなグループ」
という認識ばかりがまかり通っていて、なかなかコアなＴ．レック
ス・ファン以外の人口に膾炙することがないように思う。
しかし、そんな一部の人達だけのものにするには、このアルバムあ
まりに惜しい。アコースティックからエレキへと移行する過渡期の
アルバムというようなことは僕にとって最早二次的なことでしかな
い。
このアルバム全体に漂う切なさと性急さ。例えばオープニングを飾
る「プレリュード」の最初の一音だけで、妙に物悲しくなるのは、
果たして僕だけか？この音に込められたボランの情念や思いがどの
ようなものであったか勿論知る由も無いが、しかしそれが常軌を逸
したものであったろうことは、容易に伺いしれる。
エレキに移行とはいっても、やはり音はきわめてシンプル。だから
こそボランのヴォーカルが映える。そしてＴ．レックス時代よりも
メロディーが変てこで、その分余計にこちらのツボをついてくる。
こういうことを言うと怒られそうだが、僕にとってのボランは、テ
ィラノ時代のボランで、その後の彼の残した作品は幾分付け足しの
ように思えてならない。
○
ティラノザウルスレックス時代の最後のアルバムです。

それまでのアコースティックから、このアルバムではエレキギターに変わりました。音にも厚みが出始め、曲にもＴＲＥＸ期のような鮮やかさが出始めた頃です。しかしエレキギターの音の出し方は「電気の武者」や「スライダー」のころとは若干異なり、こちらのほうが昔に出ているので語弊があるのですが、新鮮な感じを受けます。

ＴＲＥＸサウンド直前の別の魅力のサウンドがきけると思います。