J-ROCK音楽店

Roger the Engineer/The Yardbirds
1966年に発売されたThe Yardbirdsのスタジオ録音による正式な1stアルバム（これより前に発売されているデビュー・アルバム「Five Live Yardbirds」はライヴ・アルバムであり、「For Your Love」と「Having a Rave Up」はシングルを中心に米国で編集されたコンピレーション・アルバム）。 Andy McCoy（Hanoi Rocks）に憧れてギターを弾き始めた筆者にとって、3大ギタリストは何世代も上の遠い存在であり、このアルバムでリード・ギターを弾いているJeff Beckは修行僧のような近寄り難いギタリストだった。 従って、Yardbirdsというバンドにも近寄りがたいイメージを持っていた。 しかし、このアルバムを聴いた瞬間、そのイメージが崩れ去った。 Beckはこの頃から既に実験的で独創的なギターを弾きまくっているが、ポップなRock'n'Rollアルバムとしても楽しめるように作られているから凄い。 また、同時代の他のバンドでは作れない、Yardbirds独自の個性が存分に発揮されている。 Yardbirds未聴の方には、このアルバムから聴き始めることをお薦めしたい。
全てオリジナル曲で勝負！！
66年8月リリースのイギリスでは2作目のアルバム。　全曲メンバー共作のオリジナルで構成されている。ラーガ風のキャッチーなフレーズの「オーバー・アンダー・サイドウエイズ・ダウン」など後のサイケデリックを感じさせるアルバムに仕上がっている。　とりわけジェフ・ベックのファズやフィードバック奏法を使ったプレイは独創的で凄まじいものがある。得意のグレゴリオ聖歌風の曲「ターン・イントゥ・アース」や後々ジェフ・ベック・グループやソロでも取り上げる「ジェフズ・ブギー」などバラエティにとんだアルバムである。（ヤードバーズファンはこのアルバムが一番お気に入りでは？）ジャケット画はサイドギターのクリス・ドレヤのペンによるもの。81年頃に黄色と青の2種類のアルバム（たしか黄色がステレオで青がモノラルだったような記憶が…）が再発され、その中に当時それでしか聴けなかったジミー・ペイジ参加のツインリードギターの名曲「幻の10年」「サイコ・デイシズ」という2曲がボーナス曲として入っていた。これぞヘビィ・メタルの原点というべき曲！現在のブリット・ポップファンの人にもぜひ聴いてほしいアルバムである。
ヤードバーズの実力を示したアルバム
これは注目されがちなベックも含めてヤードバーズのメンバーの音楽センスが素晴らしいかを実感できるアルバムです。
ストーンズやビートルズなどに比べたら注目度がないように見えますが、彼らは確実にロックやポップという名の音楽の歴史を塗り替えています。
親しみやすさを残しながら先端の音楽を作る彼らはこのアルバム以外にももっと注目されてしかるべきバンドであると思います。

そうは言いながらベックは素晴らしいですね。センスがぶっ飛んでます。
ジェフ･ベックのギター･プレイに注目
ヤードバーズがジェフ･ベック在籍時の66年に発売した彼らの代表作と呼べるアルバム。これ以前のアルバム『For Your Love』と『Having A Rave Up With 〜』の２枚は米エピックがシングル中心に編集したアルバムであり、本作が初めてグループの意向で作られたスタジオ・アルバムと言える。全曲彼らのオリジナル曲で勝負している意欲は買えるが、オリジナルと言っても半分はブルースやＲ＆Ｂの改作だし、様々なアイディアを取り入れてはいるが、懐の深さみたいなものはあまり感じられない。それだったら、もう少しジェフ･ベック主導で制作した方がもっと面白いものが出来たのではないかと思う。それでも、本作が彼らの代表作と呼ばれるのは、やはりジェフ･ベックのギター･ワークのおかげだろう。ファズの使用やフィードバック奏法などすでに独創的で非凡なプレイは聞く価値がある。このＣＤは98年に英Diablo からリリースされたリマスター盤で、ステレオ、モノ両方を収録した上にボーナス・トラック７曲を追加した決定盤とも言える内容で、ステレオとモノでは曲によってはベックのギターが違っているので、ファンには嬉しい仕様だ。リマスターの音質も悪くはない。